ジェームズ・キャメロンが設立した映画製作会社ライトストーム(LEI)が、3D化を担当。最初に35ミリのオリジナル映像の最も良好な状態のものを4K解像度のデジタルデータに変換。調整後、デジタルデータを3Dに変換、この作業を『スター・ウォーズ』『アベンジャーズ/エイジ・オブ・ウルトロン』『ジュラシック・ワールド』を担当したステレオDが1年を費やし作業した。最終的にキャメロン監督の監修の下、入念な修正と仕上げを行い、ついに高品質な3D版が完成した。


出演は日本で大人気のアーノルド・シュワルツェネッガーや本作で鍛え上げた肉体を披露したリンダ・ハミルトン、冷酷無比な“T-1000”を演じたロバート・パトリック、若きジョン・コナーを演じ、当時アイドル的な人気となったエドワード・ファーロング。またILMによるT-1000型が液体金属となって自在に変える姿は大きな話題となり、新たな映像革命をもたらした。

「この映画をビデオやブルーレイやDVDでしか知らない人が大勢いる。だから、劇場ですべてを体験してほしい」とキャメロン監督。26年ぶりに、最新技術によって3D映画として復活した『ターミネーター2』。スクリーンで驚異の映像を体験するはずだ。

機械軍はジョンを少年のうちに殺すため、新しいターミネーターを送り込む。ある日ロサンゼルスに2体のターミネーターが未来から送り込まれる。息子を守るために、サラの死闘が始まる。

だが、残忍非道なターミネーターに立ち向かうサラとジョン母子に、強い味方が現れる。いかなる犠牲を払ってもジョンを守れと厳命を受け、人類抵抗軍によって送り込まれた戦士だ。

未来への戦いが、いま始まる……

Q. 『タイタニック』が3D版で再公開されたころ、次は『ターミネーター2』に関心が向いていると話していましたね。あのころすでに『ターミネーター2』の3D化を考えていたのですか。

A. アイデアとしてはあったね。次に3D化すべき作品は『ターミネーター2』だと思っていた。四半世紀も前の映画だが、人々の記憶に残る、とても象徴的な作品だと思ったからだ。それにカメラの動き方、ショットの構成の仕方などを考えても、3Dにうまく変換できると思った。3Dに変換できない映画もあるからね。私は短いレンズで撮ることが多いが、3-400mmレンズで撮る人もいて、それだと3D変換には適さない。だが、『ターミネーター2』の映像なら適していると思った。それに、初公開から26年後に劇場のスクリーンで観るのも、おもしろいと思ったんだ。この映画をビデオやブルーレイやDVDでしか知らない人が大勢いる。だから、劇場ですべてを体験してほしいと思った。映画を作る者として、大きなスクリーンで観てもらうことが一番だからね。

Q. この映画をじっくりと観たのは久しぶりですか。

A. ああ、久しぶりに観たよ、4,5年ぶりだと思う。この映画は観るたびに驚かされる。いつ観ても古さを感じさせないんだ。1作目の『ターミネーター』は、いま観るとお粗末だ。低予算で作ったし、ハイスピード・フィルムの質が良くなくて、きめの粗さが目立つ。映画自体はいいし、満足している。でも、いま観ると古さを感じる。だが『ターミネーター2』は、まるで去年作られたかのように、古さを感じさせない。アーノルドもリンダ・ハミルトンも年をとり、変わってしまっているがね。1つの作品として見ると、まるでいま作られたかのように良くできている。最後の製鋼所の溶鉱炉のシーンは、CGを使えばもっと良いものができたと思うが。当時より良い機器がたくさんあるからね。レッカー車を水路に突っ込ませる方法もたくさんある。実際に突っ込ませることもできる。CGで高速道路の陸橋の下にヘリコプターを飛ばすこともできる。だが本物を使うほうが、ずっとおもしろい。

Q. 特殊メイクはどうですか。変更したい部分はありますか。

A. どれもかなり良いと思う。いまはもっと良くなっているのかい? もちろん、多少は良くなっているだろうが、はっきりと違いがわかるほど、大幅に良くなっているとは思わない。当時はラバーマスクもCGも使っていた時期だ。いまならすべてCGにすることが多いだろうが、当時はCGでできることは限られていた。だから、スタン(ウィルソン)は顔や体のキズや穴を作った。いまならすべてCGを使うだろうが、当時は実際に手で作ったんだ、頭が真っ二つに割れるのもね。CGショットは全体で42しかない。ほとんどゼロだね! 『アバター』では2800もあったから。

Q. 『ターミネーター2』のストーリーの一部は、1作目から展開したものだと、以前に話していましたね。

A. 『ターミネーター』の構想を最初に具体化したとき、金属の骨格の男が攻撃を受け、ストーリーの途中で粉々になる、というアイデアを持っていた。そのあと未来においてコンピューターに波動が起こり、人類はそれに気づいて、地下にあるブラックボックスに向かい、不気味に感じている装置を取り出す。その装置を最初にどこかに送ることができたのに、中身がわからず、人類はただ恐れる。そしてその装置を過去に送り込めば、あらゆる物を破壊していくとわかる。未来がどうなるのかわからなくなるんだ。そこで、その装置を開けてみる。そこから現れるのが液体金属の男、途轍もなく残忍な男だ。私はすでに1作目でこの男のことは着想していたし、続編でどこまで展開させるべきかもわかっていた。それに、ジョン・コナーが未来において重要なキャラクターになるという考えも、すでに浮かんでいた。そして、「よし、ジョンの10年後を描こう」と思った。ジョンが10歳になり、自分が神の子だと知ると、神はどう思うか。ジョンは混乱するだろうか。母は混乱するだろうか。そこまで考えていた。そこで、これらの要素、つまり液体金属の男と10歳になったジョンという要素を組み合わせてみたんだ。すると、ターミネーターはどうするかという問題が生じた。タイトルのキャラクターは誰にするのか。アーノルドに液体金属の男を演じさせるのか。だが、アーノルドには似合わないと思った。ではT-800をどうするか。アーノルドをどうするか。待てよ! 2つのサイボーグを現代に送り込んではどうだろう。一方を再プログラミングし、ジョンたちを守る善玉のサイボーグにしてはどうか。そういった考えが浮かぶと、おのずとストーリーが展開した。サラとジョンという特殊な核家族において、このサイボーグが父親の代わりになる。ストーリーはその方向に進んだんだ。
Q. 『ターミネーター2』の製作において、『ターミネーター』のときとどんな違いがありましたか。評価が上がっていると感じましたか。

A. ああ、感じた。『ターミネーター2』の製作時、私はすでに4本の映画を作っていた。『エイリアン2』と『アビス』は、物理的な映画という点で高い評価を得た。『ターミネーター2』では大がかりなカーチェイスのシーンがあった。高速道路のライトを何マイルもつけ、ヘリコプターを飛ばし、大きなクレーンや高度な小道具も使った。でも結局のところ、中心は、カメラの周りにいる人々なんだ。どれだけ多くの人がプロジェクトに関わっていようと、俳優、機材、スタッフが中心なんだ。そしておもしろいことに、それまでやってきたプロジェクトとあまり違いはないと感じた。予算が大きくなり、プレッシャーも大きくなったから、プロジェクト自体が大きく、不安も増してはいたがね。でも脚本が良く、キャストも素晴らしいとわかっていた。リンダは筋肉隆々に体を鍛え上げ、精神を集中した状態で現れた。エディはこの映画の命運がかかっているといえるほど、鍵となるキャストだったが、素晴らしい仕事をしてくれた。本作がデビュー作で、芝居の経験がなかったんだがね。ロバートも撮影初日から素晴らしかった。だから最初からみんな、特別なものを作っていると感じていた。







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